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事務所ブログ
出張所が「サービス拠点」に化けるとき――駐在員事務所の「準備的・補助的活動」とPE認定の境界線
はじめに 今回から、海外進出の実務で見てきた国際税務のケースを、全6回のシリーズでご紹介していきます。進出形態には段階があります。まずは駐在員事務所レベルでの情報収集、次に業務委託による輸出補助、現地法人設立と業務委託、コミッション取引、そして仕入れて売るバイセル取引による本格的な移転価格対応――。このシリーズでは、それぞれの段階で実際に直面したリスクと、その是正のプロセスを、守秘のため業種・国・金額等を一般化・匿名化したうえでお伝えします。 なお、私は公認会計士であり、税理士登録はしておりません。このシリーズでご紹介する内容は、あくまで実務で見えてきた一般的な論点整理・パターン紹介にとどまるものであり、個別具体的な税務判断(税務代理や税務書類の作成、特定の事案に対する税務相談)は行っておりません。実際の案件を検討される際は、登録税理士・国際税務専門家との連携が前提になる点を、あらかじめお断りしておきます。 第1回のテーマは、市場調査目的で設置した駐在員事務所(出張所)が、事業の進展とともに、当初の目的から外れた機能を持つようになっていったケース
2 日前
全体最適という仕組みは、誰が支えていたのか――経営陣の世代交代で露呈した、PMI後のグループ経営の宿題
はじめに ブログ9では、増資によって子会社化した投資先企業(A社)を中間持株会社化し、新設分割・CMS・経営指導料によってグループとしての業務設計を組み立てた話をお伝えしました。A社・B社(A社がTOBで買収した会社)は、いずれもおおむね2年程度で黒字化を実現しています。今回は、その続きの話です。黒字化という当初の目的を達成したあと、このグループがどのような課題に直面し、どのような対応の選択肢があったかをご紹介します。 M&Aで子会社化した会社のPMIが軌道に乗ると、投資した側は徐々に経営の前面から引き揚げていき、その過程で後継者指名が行われるケースもあります。今回のグループでも、黒字化後、親会社から出向していた社長がやがて退任し、A'社・B社それぞれの生え抜き人材が社長に就任するという、自然な経営承継が進みました。この承継の局面で、それまで見えていなかった課題が表面化することになります。 1.出向社長時代:試されていたことと、試されていなかったこと A'社・B社の間では、出向社長の時代から、製造現場の繁閑に応じた人員の融通は、すでに一定の前例を
7月21日


中間持株会社化によるグループ再編――新設分割・CMS・経営指導料で組み立てる業務設計
はじめに ブログ8では、第三者割当増資によって支配権を取得する買収スキームについてお伝えしました。今回は、その続きの話です。第三者割当増資によって子会社化した投資先企業(以下「A社」)と、A社が増資資金の一部を使ってTOBで買収した会社(以下「B社」)について、その後どのような組織形態を組み、どのような業務設計を行ったかをご紹介します。 A社とB社は、いずれも長く深刻な赤字が続いていた会社でしたが、その内容は異なります。A社は、その分野では名の知れた会社で、過去に蓄積してきた内部留保を食いつぶしながら存続してきたという経緯があり、借入自体は少額で、銀行から人が送り込まれているわけでもありませんでした。一方のB社は、借入金利が市場水準より高く、かつては銀行出身の社長が来ており、投資した当時もコーポレート系の役員が派遣されている状態でした。同じ「長期の赤字会社」でも、赤字の質や原因が異なる2社を、増資後どのようにグループとして機能させるかが、次の検討課題になりました。 1.なぜ「中間持株会社」という形態を選んだか 増資によってA社の支配権を取得した時
7月13日
上場企業M&Aの買収価格をどう抑えるか――支配プレミアムと第三者割当増資の組み合わせ
はじめに 上場企業をM&Aで買収する場合、株式を時価でそのまま取得できるわけではありません。一定期間の市場価格の平均などを基準に、支配プレミアムと呼ばれる上乗せが必要になるのが通常です。当該案件の当時は30%程度が目安と言われていましたが、これはあくまでその時期・その案件における一つの感触であり、一般的な相場として固定的に決まっているものではありません。市場環境や対象会社の状況によって変動するため、その時々の情勢に応じて証券会社等の専門家に確認すべき事項だと考えています。 ある案件では、買収企業・被買収企業の双方がM&Aに前向きでした。ただし、被買収企業は長く赤字が続いていた会社で、買収企業としては「適正な金額に抑えられないか」という発想が当然出てきます。今回は、このときに検討した買収価格の抑え方についてお伝えします。 1.支配プレミアムが必要になる理由 上場企業の株式は市場で日々取引されており、時価が観測できます。しかし、株式を買い集めて経営権(支配権)を取得しようとすると、市場価格のままでは既存株主が応じてくれません。経営権が移ることによる事
7月6日
新リース会計基準への対応(後編)――リース期間の設定と簡便処理の使いどころ 実務判断ガイド
はじめに 本稿は前編の続きです。前編では企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の全体像、適用準備の4フェーズ、そして「どの取引がリースか」という識別論点(製造業特有の金型を含む)を解説しました。 後編では、識別の次に実務者が必ず直面する2つの判断に絞ります。「リース期間を何年に設定するか」と「どこまで簡便処理でよいか」です。この2点は財務数値への影響が大きく、監査人との協議の焦点にもなります。前編未読の方向けに基礎を一言で補足すると:新リース会計基準では2028年3月期(3月決算企業)から、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースを含むすべての賃貸借取引について使用権資産とリース負債の計上が原則となります。 判断①:リース期間を何年に設定すべきか (1)財務インパクトの大きさ リース期間の決定は、使用権資産・リース負債の計上金額に直結します。例えば月額100万円のオフィス賃貸借について、解約オプションを行使しないことが合理的に確実として10年のリース期間を設定した場合と、解約可能な2年(解約通知期間)のみを設定した場合では、負債
7月1日
新リース会計基準への対応(前編)――2027年問題、経理部長が今すぐ動くべき理由
はじめに 2024年9月、企業会計基準委員会(ASBJ)は企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」および企業会計基準適用指針第33号(以下、合わせて「新リース会計基準」という)を公表しました。適用開始時期は2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からであり、3月決算企業にとっては2028年3月期が最初の強制適用期となります。早期適用は2025年4月1日以後開始事業年度から選択可能であり、2026年3月期決算企業ではすでに適用が始まっています。 新リース会計基準の最大の変化は、これまで賃貸借処理(オフバランス)が認められていたオペレーティング・リースも含め、すべてのリースについて使用権資産とリース負債をオンバランスすることが原則となった点です。影響を受ける範囲は賃借物件や自動車リースにとどまらず、機械設備、IT機器、さらには業務委託契約の一部までに及ぶ可能性があります。 筆者は、実務対応報告第18号に基づきIFRS第16号「リース」を子会社へ適用した経験があります。その経験から言えば、「どのくらいの規模感で影響があるか」
6月29日
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