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事務所ブログ
新リース会計基準への対応(前編)――2027年問題、経理部長が今すぐ動くべき理由
はじめに 2024年9月、企業会計基準委員会(ASBJ)は企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」および企業会計基準適用指針第33号(以下、合わせて「新リース会計基準」という)を公表しました。適用開始時期は2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からであり、3月決算企業にとっては2028年3月期が最初の強制適用期となります。早期適用は2025年4月1日以後開始事業年度から選択可能であり、2026年3月期決算企業ではすでに適用が始まっています。 新リース会計基準の最大の変化は、これまで賃貸借処理(オフバランス)が認められていたオペレーティング・リースも含め、すべてのリースについて使用権資産とリース負債をオンバランスすることが原則となった点です。影響を受ける範囲は賃借物件や自動車リースにとどまらず、機械設備、IT機器、さらには業務委託契約の一部までに及ぶ可能性があります。 筆者は、実務対応報告第18号に基づきIFRS第16号「リース」を子会社へ適用した経験があります。その経験から言えば、「どのくらいの規模感で影響があるか」
6月29日
固定資産の減損会計――実務で本当に困ること
はじめに 固定資産の減損会計は、2005年3月期から上場企業等に強制適用された会計基準です。施行から20年以上が経ちましたが、「基準の概要はわかる」「でも実際にどう運用するのか」という疑問を持つ経理担当者は少なくありません。 この記事は、上場企業の経理部門で実際にあった減損の判定・測定の事例をもとに、実務で本当に困った点を中心にお伝えするものです。 なお、本記事は日本基準(固定資産の減損に係る会計基準・同適用指針)を前提としています。IFRS(国際財務報告基準)では減損損失の戻し入れが認められるなど取扱いが異なる部分があります。IFRSを適用している、または適用を検討している方はご留意ください。 1.減損会計とは何か 減損会計とは、固定資産の収益性が低下した場合に、帳簿価額をその回収可能価額まで切り下げる会計処理です。 ここで最初に強調しておきたいことがあります。 減損処理は、帳簿上の価値を修正するものであり、資産の廃棄や使用停止を意味するものではありません。 実務の現場では「減損した設備はもう使えないのか」「廃棄しなければならないのか」という質
6月22日


「現地に経営を任せる」を機能させる条件――中南米合弁会社で見えた粉飾の兆候
はじめに ある日本企業が、中南米で現地企業と50%ずつ出資する合弁会社を設立しました。契約上、業績に問題がない限り経営権は現地パートナー側にあるという建付けです。事業内容は、日本側の製品を仕入れて現地で販売するというシンプルなものでした。 「日本企業が単独で進出して営業するより、現地事情に精通したパートナーに経営を任せた方がうまくいく」――この判断は、決して特殊なものではありません。実際、この合弁会社は現地での販売シェアを着実に伸ばし、業績面でも親会社に大きく貢献していました。 しかし、ある時期から、雲行きが怪しくなっていきます。 1.最初の違和感は「ユーザンスの延長要求」から ある時期から、現地パートナーは、日本側が供与する決済猶予(ユーザンス)を120日から180日、さらに240日へと、繰り返し延長するよう求めてきました。 ユーザンスの延長要求自体は、資金繰りの事情で起こり得ることです。しかし、延長幅と頻度が常識の範囲を超えてくると、「資金が滞留しているのではないか」「売上は計上されているのに、現金化が進んでいないのではないか」という疑問が浮
6月15日
銀行からお金を借りる「ツボ」を知っていますか――資金ニーズの種類と、銀行が見ていること
はじめに 「銀行はお金を貸したい」というのは正しい。しかし「なんでも貸してくれる」は大きな誤解です。 銀行の担当者が融資を持ち帰ると、行内では申請書を書いて稟議を通す作業が待っています。担当者は自分の上司を、上司はさらにその上を納得させなければなりません。「社長が困っていると言っていた」では稟議は通りません。資金使途、返済期間、返済方法、金利の根拠、業績の現状、業界環境、返済計画の妥当性――これらをデータと整合性をもって説明できる書類が必要です。 ということは、会社側が何をどう説明すれば銀行が動きやすいかを理解しておくことが、資金調達を円滑にする最大のポイントになります。 ここがすれ違うと、会社も銀行も余計な時間と労力を使い、それでも融資が思うように進まない。逆に、ここを押さえていると話が早く、銀行からの信用も積み上がります。 1.「借入」とひと言で言っても、中身はまったく違う 資金ニーズには種類があります。それぞれ、銀行が考える適切な期間・返済方法・評価の観点が異なります。 ① 経常運転資金 売上債権(売掛金)と棚卸資産の合計から買入債務(買掛
6月8日
売上はいつ立てるべきか——収益認識基準が解いた「あつものに懲りてなますを吹く」問題
はじめに 収益認識基準(企業会計基準第29号)は2021年4月1日以後に開始する事業年度から、上場企業等に強制適用されています。「うちはもう対応済み」という会社も多いはずです。では、なぜ今この話をするのか。 基準を適用したとしても、実際の取引に即して判断が難しい局面は必ず出てきます。技術の新旧・貿易条件・セットアップの実施主体など、契約ごとに異なる事実をどう整理するか——そこに答えを出すプロセスこそが基準適用の本質です。また、M&Aで新たに子会社が加わる場合や、IPO準備で金融商品取引法の開示が求められる段階では、収益認識の判断基準・文書化・レビュープロセスを改めて整備する必要が生じます。 この記事で取り上げるのは、基準適用のタイミングで正面から判断に向き合い、監査法人とも協議しながら類型化・運用設計を整えた会社の事例です。難しい判断をどう乗り越えたか、その思考プロセスをお伝えします。 「検収確認書をもらえるまで、絶対に売上に計上しない」 そう徹底した会社がありました。かつて不正会計が発覚し、売上の前倒し計上が問題になった。その反省から、検収確認
6月1日
内製化の行き過ぎが会社を揺るがす――固定費拡大の罠と外注バランスの重要性
はじめに 前回の記事では、「自社製造は高い」という誤解から外注化が進み、操業度の低下と配賦率の悪循環によって赤字が深刻化した事例をお伝えしました。 その会社は売上規模が100億円前後の製造業でした。外注化が進む中で製造間接費の配賦率が上昇し続け、損益分岐点は110億円程度にまで膨らんでいました。売上100億円に対して損益分岐点が110億円であれば、普通に経営していても赤字になります。そこにコロナ禍が直撃し、売上はさらに落ち込みました。 その状況を打開したのが内製化の推進です。止まっていた設備投資を再開し、製造間接費を有効活用する形で社内でできることを内製に戻す。固定費の使い方を変えることで損益分岐点を90億円程度まで引き下げることができました。売上がコロナ禍から回復し90億円を超えたタイミングで、黒字化を実現することができました。 ところが、その後に新たな問題が生じました。 「内製化で黒字になった」という成功体験が組織に広がった結果、今度は内製化しすぎという状況に陥ったのです。 1.成功体験が生んだ「100%内製化」の風潮 内製化推進による黒字化
5月25日
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